妻とぼくとでは、映画の趣味が違う。
路地裏のちいさな劇場で上映しているような隠れた名作を見つけようとするぼくと、どうやら全米の人たちも泣いたらしい超大作を観て、分かりやすいくらい感動している妻。そんな二人だから、いっしょに映画館に足を運んだのはいつのことだろう。
だけど家では、どちらかが映画鑑賞の準備をはじめたら、もう一人もテーブルの支度を手伝って、おなじソファに並んで座る。食べること、飲むことについては不思議なほど息が合うようで、このささやかな鑑賞会を、お互いが愛しているのだ。