北は青森、南は佐賀。素敵なうつわを求めて旅に出ました。
最後は日本の玄関口・東京で、甘酒パーティを開催
手塩にかけて造られた「東京あまざけ」をもっとおいしくいただくために、
甘酒が映える素敵なうつわを探しに、青森の「津軽びいどろ」と佐賀の「有田焼」の工房を訪れました。
連載最終回の本記事では、最後に東京在住の外国人3名を招いて、甘酒パーティを実施。
甘酒を新たな東京土産の定番として国内にも世界にも発信していくために、甘酒の感想を聞きました。
「津軽びいどろ」とは、色鮮やかなドットが印象的なハンドメイドガラスのブランド。全国の小売に展開しているので、セレクトショップなどで見たことがある人もいるかもしれません。
今回は、その津軽びいどろを作っているという青森県青森市の北洋硝子さんを訪れました。季節はまだ寒さの残る春の初めでしたが、工房を訪れると、そこはすごい熱気…!
それもそのはず、中央にある巨大なるつぼには常に1,500℃の灼熱の世界が広がっているのです。
工場長の中川洋之さんがご案内くださいました。ガラス作りにはさまざまな技法がありますが、効率よく生産できる「スピン」から、宙で自由に形を作る難易度の高い「宙吹き」まで、9つもの技法を使い分けているのが津軽びいどろの特長なのだそう。技法の多様さのほかに、色の多彩さも津軽びいどろの自慢。伝統工芸士のほかに、溶融のスペシャリスト「あおもりマイスター」も在籍し、中川さんはまさにそのマイスターなのだとか!
ここからは伝統工芸士の篠原義和さんにご協力いただき、特別に吹きガラス体験をさせていただきました。職人の方々の慣れた手つきが、いかに匠のなせる技か…! 均一に力を入れること、ちょうどいい塩梅で息を吹きかけること、バランスよく色をつけること。全てが難しかったです。そして何より、熱い! 数秒前まで1,500℃のるつぼに入っていた塊を、至近距離で操るのですから。
津軽びいどろの町に生まれ、1996年に北洋硝子さんに入社したという篠原さんは、同社に所属する伝統工芸士の一人。
型を使わずに、竿に巻いたガラスを塊のまま形作っていく「オーナメント」の技法を得意としているそうで、この日も『ふくろう』を見せてくださいました。
この技術を手に入れるまで、十数年もかかるのだそう…!
日本三大陶磁器の一つと言われている有田焼。佐賀県・有田町にある「アリタセラ」という施設には、たくさんの陶磁器専門店がズラッと軒を連ねており、うつわ好きな人は1日楽しめてしまいそうな施設です。
どのお店も素敵だったのですが、今回は特にモダンで私の好みだったKIHARAさんにお邪魔しました。KIHARAさんは有田焼・波佐見焼の専門商社で、商品開発やOEM事業も行っています。
有田焼の歴史について教えてくださったのは、KIHARA取締役でブランドマネージャーの松本幸治さん。有田焼の産業は分業体制が一般的で、石を砕いて粘土状にする会社、生地を作る会社、型を作る会社、窯元など、複数の会社を経て器ができあがります。「有田焼は作家の表現活動というより、必要とされるものを作っている」と語る松本さんいわく、伝統に偏りすぎるのではなく、新しい技術を取り入れて、ニーズに応える器を作るのがKIHARAさんの姿勢なのだそうです。
例えば、左写真のデザイナー・池田和浩さんは、デジタルグラフィックや写真をベースに印刷を施す「Infinity」や「Shine」といったシリーズをデザイン。伝統とモダンが融合したこのデザインは人々の心を掴み、国内外から好評を博しているそうです。歴史の長い焼き物は、変わらないことに価値を置く印象がありましたが、KIHARAさんの手掛ける商品からは、積極的に変わっていこうとする姿勢が垣間見えました。
次にお伺いしたのは、KIHARAさんのパートナー会社である金善製陶所さん。有田町には100を超す窯元があるそうで、金善製陶所さんもそのうちの一つです。KIHARAさんが採用しているという印刷技術を実際に見ることができたり、絵付けや施釉(器に光沢と強度をもたせるため、ガラス質の成分を含んだ釉薬を施す作業)の様子を見学させていただきました。社内のつながりも社外のつながりも、みんな家族みたいに仲良しなことに驚きました!
選んだうつわを使って、外国出身の皆さんと甘酒パーティを開催!
東京は日本の玄関口。訪日外国人の方々にも東京あまざけを楽しんでもらい、甘酒を新たな東京土産の定番にしたい。
そこで、外国出身・東京在住の3名に集まってもらい、甘酒パーティを開催しつつ感想をうかがいました。
うつわは津軽びいどろ、有田焼、そして江戸切子をご用意。
青森と佐賀でゲットしたお菓子をはじめ、東京のお菓子はもちろん、あまざけポッキー!
東京のうつわ、江戸切子。
鮮やかなガラスが
白い甘酒を引き立てます
東京を代表するうつわと言えば、江戸切子。第2回目で取材した東京都水道局の“東京水”のデザインも江戸切子をモチーフにしたものでしたね。
江戸切子はその名の通り、江戸末期に江戸で始まったカットグラス広報でつくられた伝統工芸品。矢来・菊・麻の葉模様など、着物にもよく見られる身近な和の文様を繊細に表現しているのが特徴です。
東京土産は
「あまざけポッキー」!
サクサクのビスケットがお気に入り
まず、外国人の皆さんには「あまざけポッキー」を食べていただきました。「チョコレートと甘酒って合うんですね(ヴァンさん)」、「サクサクのビスケットが好きです(リンさん)」など、甘酒の特徴を生かしたポッキーに、皆さん太鼓判!和テイストな甘みにハマり、私はもう3箱分くらい食べています(笑)」
東京港醸造の東京あまざけ。
江戸切子でいただくそのお味は…?
しっかりとした重量があり、カットグラスの装飾も繊細なので、飲んでいるだけで高級感を味わえる江戸切子。高級なグラスで高級な東京あまざけをいただく、プレミアムな体験になりました。
以前にも市販の甘酒を飲んだことがあるという3名。東京あまざけのお味はいかがでしょう?」
ヴァンさん
自然な甘みがあって、味に深みを感じます。お米の味が強いですね
自分で作ったわけじゃないのに、
おいしいと言われると嬉しいですね
ニシブ
伝統とモダンが融合した
KIHARAの有田焼。
光をイメージした
“Shine”というロックカップで
お次は佐賀・有田町にあるKIHARAさんで出会ったグラフィックプリントされた有田焼。伝統とモダンが融合するうつわで、東京あまざけをいただきます。朝日が輝く光と、水面に映える丸い光をイメージして作られました。鮮やかに映える白と藍色のコントラストは、伝統的な磁器の装飾技法の一つで、発祥の地である中国では「青花」と呼ぶのだそうです。
佐賀からの手土産は
「佐賀のり」と「丸ぼうろ」
添え物には、佐賀名物の「佐賀のり」と「丸ぼうろ」。
しょっぱいものと甘いもの、どちらが甘酒に合うでしょうか?
私は丸ぼうろがベストマッチングかなと思っていたのですが、意外にも佐賀のりのしょっぱさが甘酒の甘味を引き立て、大好評でした!
マキシムさん
白と青の組み合わせが好きなので、このうつわが一番のお気に入りです
丸ぼうろもいいけど、のりの塩味がやみつきになります!
リンさん
ヴァンさん
のりの塩味が甘酒にめちゃくちゃ合う!僕はこれ一押しです
佐賀のりがこんなに合うとは…!
甘いとしょっぱいの組み合わせは正義
ニシブ
鮮やかな“津軽びいどろNEBUTA”と
春らしい“津軽の花 林檎”。
巧みな技術と技法からなる津軽びいどろ
最後は青森の津軽びいどろ。伝統工芸士の熟練の技からできあがった色とりどりのグラスに東京あまざけを注ぐと、甘酒の白が映える爽やかな印象になりました。津軽びいどろの代表ともいえる“津軽びいどろNEBUTA”と“津軽の花 林檎”を選びました。
手作りならではのやさしい質感ですが、中に注ぐものによって表情をガラっと変えるのも面白いです。
青森に行ったら、やっぱりりんご。
東京あまざけと果物の相性も抜群
青森からの手土産は、りんごのドライフルーツ。東京あまざけが和風ヨーグルトのような風味なので、果物は絶対に合うだろうと確信していました。結果はもちろん美味でした。
甘酒をいただきながら、話題は日本文化に。日本のラーメンはおいしいのに安いという話や、来日して初めて地震を経験したとき「これが地震か!」と少し感動した話など、外国生まれの皆さんから見る日本に私も興味津々でした。
マキシムさん
フルーツは間違いないですよね。
おいしいに決まってる(笑)
このグラスは家にあったらオシャレですよね。
プレゼントにも良さそう
リンさん
ヴァンさん
りんごも美味しいですね。
でもやっぱり佐賀のりが優勝かな
皆さんお忙しい中ありがとうございました〜!
ニシブ
東京港醸造さん、津軽びいどろの北洋硝子さん、有田焼のKIHARAさんにおうかがいして、
歴史を守る美意識と新しいものを創る美意識、どちらも素敵だなと思いました。
共通していたのは職人さんの、“最高”をつくりあげるための情熱。
買い物をするときも、想いを込めてつくられたものたちを積極的に選んでいこうと
思いました。
マキシムさん
やさしい味でおいしいです。
もっと甘さが強くてもいけますね
日本語でいうと“芳醇”っていう言葉がよく合いますね。
おいしいです
リンさん