山形県の中央東部に位置する、人口5万人弱の街・東根市。
リンゴや桃など果物の栽培が盛んで、中でもさくらんぼの生産量は県内随一。
そんな果物の街は実は、「佐藤錦」が生まれた土地でもあります。
「佐藤錦」のルーツを探しつつ、自然に囲まれた東根の街を歩きます。
樹齢1500年以上。東根市のシンボルがそびえ立つ場所、それは小学校の校庭でした。
最初に訪れたのは、東根市のシンボル、天然大けやきの木。高さ約28m、幹の太さ約16m、幹の直径約5mもの大木は、樹齢約1500年といわれています。
日本一大きなケヤキの木として知られ、東根小学校の校庭内にそびえ立つその様子は、圧巻の一言。昭和32年には、国の天然記念物にも指定されています。
「東根小学校は東根市の多くの子供達が通う小学校。だから、この大けやきの木は、東根の子供たち、そして東根に住む人たちの守り神のような存在なんです」と話してくれたのは、一般社団法人東根市観光物産協会のチームディレクター 今野 征さん。
1500年以上も前から東根を見守る大けやき。約90年前の「佐藤錦」の誕生も見届けていたと考えると、思いもひとしおです。
大けやきの木の近くで見つけた、「大けやき周辺お散歩マップ」。
そこには、東根小学校に通う生徒からのメッセージが一枚一枚丁寧に書かれていました。
東根への愛情がこもった直筆の文字に、あたたかい気持ちになれました。
大けやきの木を後にし、お次は東根小学校から車で5分のところにある東根駅前へ。駅前のロータリーで、「佐藤錦」の産みの親・佐藤栄助翁の銅像を発見。さっそく一緒に記念撮影。
この地で長きにわたって本格的に「佐藤錦」の品種誕生に力を注いだ佐藤栄助翁は、東根の人たちの誇りなんだと実感。赤いさくらんぼを、しっかりと持っていました。
続いてスイーツ好きなら必訪の場所、JAさくらんぼひがしねの産直販売所「よってけぽぽら」内にあるジェラートショップ。ここで6月の第2週目から1ヶ月、土日だけ数量限定で販売されるというのが、さくらんぼジェラート。佐藤錦がそのまま入っている、なんとも贅沢なスイーツ♡ これを食べるために県内外から人が訪れるというのも納得のおいしさでした。
秋に紅葉し、葉を落とす大けやき。その葉を地面につく前
に3枚連続でキャッチすると、願いが叶うという伝説が…。
紅葉の季節に再訪して、チャレンジしてみたい!
大正天皇も足を運んだ山寺。抜群の眺望はまさにパワースポット。
四方を山に囲まれた山形県。その雄大な自然を存分に体感したい!と東根市から少し足を伸ばして訪れたのは、山寺。正しくは宝珠山立石寺といい、開山1000年の歴史をもつ、寺院が立ち並ぶ東北有数の霊場。大正天皇が足を運び、昼食された記念殿もあります。
今回は、登山口から絶景を拝める頂上までの総階段数 1015段に挑戦!ベテランガイドの鈴木さんと一緒に登ります!
登山道の途中で出会えたのは、俳人として最も有名な松尾芭蕉の銅像。誰もが知る俳句、
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
は、今から約330年前、元禄2年に弟子の河合曾良と共にこの山寺を訪れた際に詠んだ句なのだそう。ちなみにこの銅像の先には、実際にその句を詠んだ場所、「せみ塚」に句を刻んだ石碑がありました。
「山寺は広葉樹が多く、春から夏にかけて木々の葉が生い茂るのため、直射日光が遮られるので、暑すぎないのがいいところなんです」と鈴木さん。
マイナスイオン、たしかに肌で感じられました。
山の麓から約40分、頂上の一番景色がきれいに見える「五大堂」へ到着!正面に蔵王山が一望できる最高のロケーションと、汗ばんだ体の横をすり抜ける優しい風に、その場で心からリラックス。がんばって登ってよかった〜!
山寺登山のご褒美!? 山の麓では、東根名物・玉こんにゃく
が売られていました。醤油だけで煮込んだ串刺しの「力こ
んにゃく」。これで1本100円! 和からしをたっぷりとつけ
ていただきます。
東根市に来たら必ず行きたい「さくらんぼ東根温泉」。
良質の温泉と、東根グルメを堪能
東根に戻り、その日の宿へ。
訪れたのは、東根に温泉が発掘された108年前に創業した由緒ある温泉旅館、「のゝか本郷館」。
客室は15室のみのアットホームなお宿でした。
41.8℃と比較的ぬるめのお湯は、あまりあつくなく、長風呂してしまいそうな温度ですが、発汗作用が抜群!
成分は硫酸塩泉、アルカリ系、微量ながら硫黄分も入っているそうで、疲労回復や冷え性改善、筋肉痛改善などの効果があるそうです。
約10畳の和室は、木の香り漂い、ゆったりと落ち着いた雰囲気。
女性にうれしい鏡部屋が奥に。
ゆっくりと休んだ朝のお楽しみは、温泉宿の朝ごはん。
山菜のおひたしなど、東根のおいしさを満喫できるおかずの数々。
それにぴったりな、山形のお米、つや姫のおいしさに感動の朝でした。
「佐藤錦」が生まれた東根市とその周辺を満喫した、今回。
次回は、さくらんぼ収穫祭へ!
さくらんぼ東根温泉の中の3湯を選んで入浴できる木手形、「湯めぐり季」。温泉街をぶらりと歩きながら、さまざまな温泉を楽しみたい人におすすめ。入浴施設や東根市観光物産協会などで購入できます。
力こんにゃくも、ジェラートもお米も!
”おいしい”がたくさんの東根旅に満足の取材でした。