第一回では、夕張メロンの成り立ちについて教えていただきましたが
今回は、夕張を楽しむ旅をしよう!ということで、夕張メロンにもっとも注目が集まる
あの「初競り」と、夕張のおいしいもの、すてきなところを探しに街中を散策しました。
そこでは、真面目に暮らし、仕事を営む地元の人たちの笑顔と地元愛に出会うことができました。
5月26日。2016年の夕張メロンが初めて市場に出る、「初競り」当日です。札幌市中央卸売市場には、今年初出荷となった夕張メロンがずらり、揃いました。
その数なんと、550玉!例年の10倍ほどにあたるそうです。
競り人の方が立つセリ台の前に並べられた夕張メロンは、すごいボリュームです。
ニュースで毎年、高額で競り落とされているのが
話題になりますが、今年はいくらで落札されるのでしょうか…!?
競りの前に、初採れの夕張メロンを卸売業者さんが運んできました。
会場に集まっていたたくさんの競りで買う側=仲卸業者さんがいそいそと試食!
「うん。うまい!」と口々に話していました。
競り直前には、鈴木直道夕張市長からの挨拶が。
おりしも、この日は伊勢志摩サミットの開催日。
それにかけて「日本って、夕張市って頑張ってるんだなと思ってもらえるよう期待している」とお話していました。
さて、いよいよ競りが始まります!
競り人の方が、セリ台に上がりました。
会場に集った農業関係の方たち、仲卸業者さん、全国から集まったマスコミの皆さんからも大きな拍手が。
夕張メロンは、一番いい等級のものから競りが始まります。
ということは、最高価格が付くのも一番初め。
ぐっとキャップをかぶり直して、競りがスタート!
「はい、150万円!150万…300万!46番、300万円!」と、
なんとこれまでの最高額250万円を50万円も上回る、300万円であっという間に落札されました!
「おぉ〜!!」と、どよめく場内。
その後も続々と落札されていきました。
落札したのは、兵庫の食品スーパー。
「ネットショップでいつも夕張メロンを販売していて、夕張の皆さんへの恩返しに落札しました」とコメントしていました。
落札したメロンは、1つはネットオークションで落札され、もう1つは
なんと、店頭で試食に出したそうです。太っ腹!
その後も競りは550玉を売り切るまで続き…
たくさんの初物夕張メロンが、仲卸業者さんによって、これから先、日本中の百貨店やレストラン、スーパーなどに卸されていきます。
550玉売り切った直後の、競り人・佐藤光一さんをキャッチ。
丸果札幌青果株式会社で25年、夕張メロンの競りに携わる大ベテランです。
佐藤さん、今年の競りはどうでしたか?
佐藤さんは競りが終わって、少しホッとした表情。
「今年は、出荷数が去年の10倍だったから、もう声がガラガラだね!でも、最後まで声が出て、よかったよ」
と満足気。まだ肌寒い札幌の市場にいながらも額からは汗が吹き出していました。
夕張メロンの競り人というのは、他にはないほどの大舞台。
「やっぱりこの仕事をする上では、憧れの仕事ですね」と大きな役目である競り人の仕事に、誇りと責任をもって携わっているようでした。
佐藤さん、お疲れさまでした!
初競りを終えて、夕張に戻りました。
実は夕張は、ドライバーやツーリストに人気のスポットがたくさんあるそうなんです。
夕張市内のバス停前のお店にあったのは、「うさぎや」さん。
昭和初期に創業して、現在店主の佐々木さんで3代目になるシナモンドーナツで有名なお店だそうです。
朝3時頃には起きて、家族総出で作るシナモンドーナツは、防腐剤にもなるシナモンとグラニュー糖をまわりに絡めた、おいしいこしあんのドーナツ。爽やかなハッカとシナモンの香りでぺろりと食べられちゃいました。
この日は特別に作っている風景も見せてもらいました!甘い香りに、ついついもう1つ…とシナモンドーナツに手が伸びます。
炭鉱で栄えた時代からお店を構えて、今日まで約80年。ずっと夕張を見つめてきた名店です。
現在は1個、税込みで85円。揚げたては、午前8時頃から9時頃が狙い目だそうですよ。
そのまま市内を北上して、お菓子屋さんの「アカマ」へ。
こちらも、炭鉱町として栄えた時代からあるお店です。
店主の赤間秀一さんご夫妻は、とっても気さくに町のことを教えて下さいました。名物のお菓子「炭脈」を、いただきます!
炭脈は、バターの効いた焼き菓子の中に、炭を模した小豆が入った焼き菓子。
「ちょっと前まで、この店の隣に、鈴木市長が住んでたんだよ」と、
さっき市場にいた、市長のお話も。
「彼は頑張ってるよね!」と、踏ん張る夕張市の若きリーダーを応援していました。
JA夕張市の近くにある「夕張メロンドーム」は、JA直営のショップです。
夕張メロンに関する商品をメインに、旬の味が楽しめます。夕張メロンのシーズンになると大型観光バスも乗り付けて、メロンを買いにやってくるのだそう。
「JAがやっているから、信頼できる商品が買えることが
人気の理由だと思います」とスタッフのお姉さんたち。
一緒に、夕張メロンポッキーを試食してもらいました!
「開けた瞬間から夕張メロンの香りがすご〜い!」と
大好評。夕張メロン果汁を、チョコレートに溶けこませられる
限界の25%まで配合しているから、本当にフレッシュな
夕張メロンの風味なんですよ。
夕張のお土産スポットは、道の駅「夕張メロード」も外せません。
お野菜などの生鮮食品からスイーツなどのお土産まで、地元の名産品が購入できますよ。
名物お菓子「たんどら」のお店では、たんどらの他にこちらでもソフトクリームを売っています!
お店によってソフトクリームの味も違うので、食べ比べしても楽しそうです。
初夏の夕張は、まだ少し冷え込むことも。
ソフトクリームも食べてしまったし…ちょっと温まりたい!
ゆっくり休まりたいなと思ったら、夕張市にあるリゾートホテル「ホテルマウントレースイ」にある天然温泉「レースイの湯」もおすすめです。
ホテルマウントレースイは、新千歳空港から一番近いスキー場に
直結した、利便性の高いホテル。スキーをたくさん楽しみたい方には最高のロケーションですね!
日帰り入浴も出来る「レースイの湯」。
ちょっとお先に、ひとっ風呂いただきました。
レースイの湯のスタッフさんは、偶然ですが私と同い年。
夕張出身で、いまも生まれた土地で働いています。
「夕張のいい所は、やっぱり自然の美しさ。
のどかでスケールの大きい風景を楽しんでほしいですね」と、
地元愛を語ってくださいました。
市内を少し南へ戻って小高い丘を登ると、きれいなログハウスが見えてきました!
この「夕張フォレストユースホステル」は、とても清潔でゆったりとしたお部屋を構えるユースホステルです。
敷地なんと17ヘクタールの中に、畑を営むオーナーの森元さんご夫妻や、ユースホステルの管理人である娘さん夫婦らご家族が素敵なお庭や建物を管理しています。
広大な畑では夕張メロンのほか、イチゴやアスパラガスなどを育てているそうです。
農薬はほとんど使わず、肥料もたい肥などを使ってつくる自然農法!
娘の静さんに案内していただいて、畑仕事中の森元さんご夫妻を紹介していただきました。
お仕事中のお二人にも、夕張メロンポッキーを試食していただきました。
「これはおいしいね!」と食べてくださって、ニコニコの笑顔!
ヒバや白樺の林に囲まれたユースホステルの室内も、まるで上品なロッジやホテルのようにとてもきれい。
ベッドもゆったりとあるから、一人旅にも、家族での旅行にもおすすめ!勿論、畑で採れたお野菜や果物は、ユースホステルのお食事で食べることができます。
とっても豪華で新鮮なお食事で、旅の思い出の締めくくりなんて素敵ですね。
普段は宿泊者が集い語らう食堂で、今までに買い集めた夕張のお菓子を広げさせてもらいました。美味しいコーヒーと一緒に、一息。
階段をあがると客室の奥からテラスへ出られるようになっています。
ここからの景色も絶景!
「夏は、緑いっぱいの夕張岳を眺められるとても気持ちいい季節です」と、夕張の自然と共存しながら真摯に暮らすご家族に心癒されました。
どの地元の方にお話を聞いても、「なにもないところだけど…」と言いながらも地元を愛していて、自慢のスポットは実は、しっかり知っている。
夕張の人たちはそんな飾らない、愛に溢れた人たちばかりでした。
市として財政破綻を表明してから今年で10年。
それでも愛する地元に残ってがんばろう、という人たちの心に触れた気がして、思いがけず元気をもらった気持ちになりました。
そしてまた、ゆっくりと夕張を訪れたいなと思いました。
「あれだけメロン作りに真剣になれる人たちなのだから、他の農産物や
お菓子も絶対においしいはず!」というローカル旅好きの予感は、大当たり。
静かで美しく、そしてアクセスしやすい夕張の風景は、本当に心が癒やされました。