夕張メロンのシーズンがピークを迎える時期の
収穫を祝うお祭りと、夕張市長に、夕張の未来についてお話を伺いました!
2016年6月26日、夕張市に数千人が訪れる一大イベント「夕張メロンまつり」が開催されました。
夕張市公設地方卸売市場で開催されるこのお祭りの様子、ちょっと見てみましょう。
タイトルが書かれている看板をよく見ると「復活 夕張メロンまつり」とあります。
このお祭りは、財政悪化で2000年の開催を最後に中止され、2007年の財政破たん以後もストップしていたのだそう。
「夕張市の活性化に」と、地元卸売市場を運営する会社や、有志の方の尽力で夕張メロンまつりが再開したのは、2009年。
続けていくことの難しさと、大切さを身を持ってわかっているからこそ、今日の日を地元の人達は感慨深い思いで迎えているそうです。
長蛇の列の先には、食べごろの夕張メロンがずらり!
子どもはもちろん、大人の人だってニコニコと待ちきれなさそうな顔で、行列に並んでいました。
小さい子が一生懸命かぶりついているのがとってもかわいい!
会場じゅうに夕張メロンの甘い香りが広がるなか、お父さんお母さんの「よかったねえ」という声があちこちで聞かれました。
地元の方はもちろん、最近は県外、そして国外からもお客さんが訪れるそうですよ。こんな嬉しい振る舞いがあるなら、行ってみたくなるのも納得ですね。
上質な品を、他で買うよりも驚くほどお安く購入できるようです。6個入りの箱をサクっと買って行く常連さんも多いそう。
早い者勝ちだからみなさん、決断も早い!
「すみません。特秀品で、このお値段って本当ですか!?」
私もついつい興味津々に…。
イベントスタート直後から1時間も経たず、あっという間に売り切れていました。
会場の一角では夕張メロンをカット売りしていました。こちらも、普通のお店で1カット食べるより半額程度で食べられるそうです。
私もひと切れ、いただいちゃいました!
お祝いというだけあって、どこもかしこも夕張メロンの大盤振る舞いです。たくさんの屋台でも、夕張メロンや地元・北海道の食材を使った食べ物がたくさん出ていましたよ。
どんなことをするんだろう?と思って、参加してみました!市場で競りに参加するみたいに、大きな札のついた帽子をかぶります。
しかし、なぜこんなに沢山の人が参加するかというと…、ここでも、夕張メロンがお安く購入できるから!
たくさんの等級とさまざまな個数の夕張メロンが出品され、みんなで本番さながらの競りをします。
途中で気づいたのですが、欲しい人がある程度まで購入すると、競争相手がいなくなってお安く購入できるような…。
私も勢いで競り落としてしまいましたが、熱くなりすぎました〜。
次回参加の際は、根気強く後半を待って参加してみようと思います!
お昼ごろに開催された「子どもメロン早食い競争」では、誰もが「あっ…この子絶対強そう!」と感じた子が、
案の定早食いに勝ち抜いていました!わんぱく相撲大会にも出たことのある彼。
最後、「っしゃー!」と勝利の雄叫びをあげていて頼もしかったです。かわいすぎる!いいもの見たな〜。
地元で人気のバー「プレジャー」のマスターはなんと20代女性!
いつも思うことですが、夕張の地元の方は本当にオープンで「自分たちが、この夕張が元気だということを発信するんだ」という思いを
感じる方ばかり。お店をやっている方でなくても、この地元を盛り上げようという気持ちでいっぱいなんです。
それはこの夕張という土地でやっていこうという気持ちがあるからこそ。自慢の品を祝って集える場所があるのは、嬉しさもひとしおですね。
夕張メロンまつりを終え、本格的な夏を迎えてから8月下旬まで、夕張メロンの出荷は続きます。
長い歴史の中で、たくさんの人の努力の結晶である夕張メロンは、夕張市にとって
どのような存在なのでしょうか?そして、新しくなった夕張メロン味の地元ポッキーの感想は…?
鈴木 直道 夕張市長と、江崎グリコ株式会社 渡邊 武さんにお話を伺いました!
ーーはじめまして。私も夕張メロンまつりにお邪魔しましたが、市内・市外のたくさんの人とメロンの香りでいっぱいでした。夕張メロンのシーズンになると、こんなにも盛り上がるんですね。
ーー会場では鈴木市長が、屋台を出店されている市民の方に気さくに「コーヒーちょうだい!」と話しかけているのをお見かけしました。あんな風に、市民の方と気さくに話をするんですね!
ーーお祭りでは私も夕張メロンをいただきましたが、とっても甘くていい香りで、幸せいっぱいの味でした。夕張メロンと長い付き合いのあるお二人は、夕張メロンはどんなフルーツだと考えていますか?
ーーやっぱり、お二人にとっても特別なフルーツなんですね。
そんな夕張メロンが、ポッキーという手に取りやすい形になって22年。今回、味もパッケージも大きくリニューアルしました。
そもそも、夕張メロンのフレーバーは「ご当地ポッキー」の第1号だと聞きましたが、夕張メロンを第1弾に選んだ理由はあるんですか?
ーーしかも、夕張市の名前が付いていてネーミングも特徴的。北海道のお土産にぴったりですね。
でも、これだけのジューシーな果物ですから、加工って難しいんじゃないですか?
ーーなるほど、ありがとうございます。「メロンだね」というより「夕張メロンだね」って分かる感じ…。
ぜひ地元ポッキーとフルーツの夕張メロンを食べ比べて、その『夕張メロンっぷり』に驚いてほしいですね!
それでは、ここからは鈴木市長に夕張メロンと夕張市の将来について、伺いたいと思います。
今回の3回に渡る夕張メロンの取材で、いろんな方にお話を聞けば聞くほど、
すごく新しいことをしているフルーツという印象をもちました。
かたや、初競りで付く超高値は、インターネット上では海外の人からも「クレイジー!」「理解できない」なんて
言われてしまうことも…。でも、これだけブランドを大切にしている夕張の人たちが、ただ高値で話題になるだけではないような気もしてきました。なので、そのことも思い切って率直に伺っちゃいます!(怒られないか、ドキドキですが…)
ーーまず鈴木市長、夕張にとって、夕張メロンはどんなフルーツなんでしょうか?
ーー「夕張メロン」と名乗るための厳しいルールがあったおかげで、2015年には国で定めるGI表記(その作物の地理的表示を『知的財産』として国際的に保護する表記)の規格にすんなり適合し、
GI表記フルーツに申請した一番乗りになったというエピソードも、興味深いですよね。
ーー初競りでは、300万円という史上最高価格がつきましたが、
その価格ばかりがクローズアップされて、海外にまで「クレイジー!」なんて言われることもあるようですね。
でも私は競りが始まる前に市長が「初競りの今日は伊勢志摩サミットの開催日。ここが元気だったら日本も元気だなと世界の人に思ってもらえるのでは」と話していたのが印象に残りました。
そこで伺いたいのですが、あれだけの高値の意味って何なんでしょうか?そして地元にとって、初競りって、どんな存在なんでしょうか?
ーーえっ、そうなんですね!!知りませんでした…。
励ましの意味も込めた値段と聞いて、目から鱗が落ちたような思いです!
ーー今回、何度か夕張市にお邪魔して、市長のお給料のお話も伺いました。
なんと、市長ご自身の給与を7割カットして、月給約25万円の、ボーナスなし!
もちろん市役所や職員の方もかなりコスト削減など負担していますよね。
それでも、皆さんがここに残り、踏ん張り続けていることも素晴らしいなと思いました。
ーーなんだか、市の歴史そのものが、夕張メロンができるまでの粘り強さに似ていますね。
ーーそう伺って考えると、なんだかちょっと感動です。今の市の状況も、いつかきっと良くなると思わせてくれるお話ですね。鈴木市長、今回は本当にありがとうございました。
夕張にある穏やかな暮らしは、決して「元からあって、エスカレーター式に享受してきたもの」ではなくて、
地元の人達が考えぬき、努力して得た尊いもの。
夕張メロンがとびきり甘くて香り高いのも、決して諦めずに『誰もがおいしいと思うものを作ってみせるんだ』
という、地元の人達の真っすぐな思いのあらわれなんですね!
自然の厳しさと豊かさ、そのどちらも知っている夕張メロンでつくったポッキー。
お土産売り場で見つけたら、そんなエピソードをちらりと思い出してもらえたら嬉しいです。
そして、地元の想いがたっぷりこもった味、ぜひあなたも試してくださいね。
私は、「町の性格」というものは歴史や立地などに沿って、そんなに驚きもなく運命づけられたもの…と考えていました。しかし、夕張を訪れてその考えは間違っていると気付かされました!取材を通して、もっとたくさんの“地元”をめぐって、お話を聞いてみたいなと思いました〜。